*きよみのアンティーク*ブログ

お預り期間~技術スタッフ

技術スタッフの宮尾でございます。
いつも、「きよみのアンティーク」をご利用いただき
また、ブログをご覧いただき誠にありがとうございます。

このほど、【お預り期間】について多数お問い合わせを承りましたので、ご説明いたします。

多くのメーカーでは1~3ケ月を基準としており、状態によってはスイス送りのケースもございます。その場合、数年待ちもよくあるケースです。
一般的な修理会社では機械式が3週間、クロノグラフや高級ラインが4週間となります。
…が、いずれも最低限に必要とされる期間でございます。

ここで、改めて〈オーバーホール〉と〈修理〉の違いをご説明いたします。
オーバーホールは「分解」→「洗浄」→「組立・注油」→「ケーシング」
修理は「分解」+「修理」→「洗浄」→「組立・注油」→「ケーシング」
となります。
「分解」と「修理」を同時に進行していくのが一般的です。

 

絶対に必要なランニング・チェック

ここで疑問に思われる方もいらっしゃるかも知れません。
「修理を必要としないオーバーホールならば、預り期間は短くなるのでは?」

常に修理師は、より良い状態で早くお客様にお戻しすることを念頭において作業しております。
実際に早く仕上がった場合、お伝えしたお預り期間より早くお届けする場合もございます。
修理・オーバーホール後には、必ずランニング・チェック(保管期間)を頂きます。
これは数日後に振り角が下がったり、精度がくるったりする事例が多々あるからです。
走行時間が短い場合はゼンマイがへたっていたり、極端に遅れる場合はツツカナが緩んでいたり。
これらの問題は、このランニング・チェックの間に発覚します。そのような状態が表れた場合は、
また時計を分解し直すので、1からスタートとなります。

よって、修理を必要としないオーバーホールでも同等のお預り期間を頂いております。

 

メーカーのランゲ&ゾーネは状態を確認するために、1度組み立てた時計をバラして再度組立てる、
不具合チェックを念入りに行っております。これはランゲ名物「2度組み」と呼ばれ、
ランゲ&ゾーネの全ての時計で行われております。

一方、アンティーク時計は先ず「洗浄」からスタートすることがほとんどです。
洗浄と言ってもケース構造・年代上、自動洗浄機では無くパーツの1つ1つを全て「手洗い」します。
そして「組立」、場合によっては「注油」も行います。状態を確認した後、ようやく「修理」に入ります。
修理後はまた「分解」し「洗浄」→「組立・注油」→「ケーシング」となります。

また、不具合パーツが見つかった時は、現行モデルのように各パーツを取り扱う材料店さんもいませんので、
パーツを探したり作ったりする時間も掛かります。
ランニング・チェック期間も含めますと3度組み・4度組みなど、よくある事柄です(汗

 

技術者から申し上げるには、甚だ極まりが悪いことではございますが…
現行モデル修理より、多くの作業工程が必要とされます。
当然のことながら会社は営利企業であるがゆえ、時計1つに時間を掛けてしまっては採算が取れません。
個人事業主の修理師さん以外にアンティーク時計を直せる修理会社が少ない所以かと思われます。
何卒、ご理解の程よろしくお願い申し上げます。

 

末筆ではございますが、本格的な寒さになって参りました。
皆様お風邪など召しませぬようご自愛下さい。
今後とも「きよみのアンティーク」ご愛顧の程、よろしくお願い申し上げます。

 

desk

********************************************************************

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です