*きよみのアンティーク*ブログ

テンプ周りの磁気帯

こんにちは、店主です

ここ最近、修理でお預りした時計の殆どが磁気帯でしたので
今日は、磁気がどの様に時計を狂わすかをご紹介します。

実は時計の中にはゼンマイが2つあります。

1つは竜頭で巻き上げるゼンマイです。
巻き上げたゼンマイが解ける力を駆動力にしています。

もう1つはヒゲゼンマイで、
時計の心臓部とも言える部分です。

振り子時計の紐の部分に相当するパーツで、
時計の精度を決める大事な部品です。
通常は下記の様に綺麗な渦巻きに状になっております。
temp1

磁気を帯びると、どの様になるかと言うと下記の様になります。
輪と輪がくっ付き、進み・遅れ・止まりの原因になります。
*矢印部分です
temp2

写真では大きく見えますが、当店が扱うカクテルウォッチの
標準サイズはこの位です。
矢印で指しているのは髪の毛です。
temp3

日本語ではヒゲゼンマイですが、
英語ではヘアスプリングとも言います。

下記はBulovaのデットストックパーツで、
中にスプリング(グルグル)だけが入っています。
temp4

ヒゲゼンマイは時計部品の中でも最も小さな部品の1つです。

今回、わざと磁化させたのですが、ピンセットの先で磁石を触り、
そのピンセットで少し触れただけです
それでも十分、精度を狂わせてしまいます。

しかし、この状態の時計を方位磁石にかざしても、
方位磁石の針は動きません。

時間が狂う様になった際に、方位磁石で磁気帯ではない事を確認をされてから
当店に修理のご連絡を頂く事もございますが、
微かな磁気帯びでも上記の様な場合もございます・・・。

ヒゲゼンマイは変形してしまうと復元が難しいパーツです。
交換で対応する事も多く、その場合はOHも必須となってしまいます。

時計内に帯びた磁気は、強力な磁気で引き抜きます為、
現行品に比べてパーツのサイズが大変小さいカクテルウォッチは、
磁気抜き後の調整は必須とお考え頂けたらと思います。
詳しくは→ こちら ←をご参照くださいませ。

上手く磁気が抜け、測定値も実測も安定している場合は
出来る限り無料でおご対応させて頂いておりますが、
分解確認や調整を必要とする場合、保証期間内に於きましても、
現行メーカー同様、有償修理とさせて頂いております。
何卒ご理解をお願い申し上げます

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