*きよみのアンティーク*ブログ

店主の好きな勤続祝い品。 の巻き

こんばんは、店主です

来週ご紹介する時計の中にピッカピカのブローバがあります

何故ピカピカかと言うと、企業が社員に送ったプレゼントだったからです。

様々な理由で企業から頂くのですが、今日はその中で一番多い、
勤続祝い品について書いてみようかと

今までも数多く、この企業の贈り物をご紹介してきましたが
殆どが無傷で綺麗な品ばかりです。

貰った時計が自分の好みと違うと言う事もあるでしょうし、
他の社員の目もあり、会社に着けてゆくのが気恥ずかしかったりもするのでしょう。

そんな訳で、殆ど使われてない状態で化粧箱も全てそっくり出てくる事も多いです。

店主はこの手の品が大好きで、勤続祝いですと必ず会社を調べます。
ちょっとしたストーカーです

大体が20年とか30年などの節目に贈られており、
コカコーラほどの大手になると25年目でロレックスが貰えております。

他には化学企業や出版社など様々な会社があり、今も存続していたり
潰れてしまっていたり、調べるのはとても楽しいです。
今はグーグルマップで、その場所まで一っ跳びで見れます。

ほほぉ、この会社で長く勤めてたのね。
と見知らぬ功労者を称えるのが、密かな趣味でもありますフフ

そして今回は「TEXACO.INC」の勤続祝い品です。
調べましたところ、テキサス州にある大手石油会社でした。

1901年に企業しており、これがまた面白いのですが、
テキサス州は1901年にボーモントに油田が見つかっております。

発見当時のボーモンド油田

当時9000人しかいなかったボーモントの人口は、
油田の恩恵をうけて、たったの2か月で30,000人に増えています。

しかし、この30000人の中に、この時計の持ち主のRoseはいません。
この時計は1970年代の品ですので、丁度セブン.スターに吸収合併された頃です。

30年間務めた会社が巨大国家企業に吸収される頃に贈られた時計です。
TEXACO.INCには勿論、きっとRoseにとっても大きな分岐点だったと思います。

50年も前の時代に女性が30年も会社に勤めるって大変な事だったと思います。
パテックを頂いても良い位です!

もう少し小さな会社ですと、持ち主を特定できるのはないかと思う時もあります。
田舎にある会社で、ミドルネームが珍しければ
誰かが知っていて懐かしい話が聞けるのではないかと。

因みに、ケースの美しい彫金も社名の刻印も
同じエングレービングと呼び、会社からの贈呈以外の
エングレービングがある時計は逆にボロボロな事が多いです。

家族の名前や、恋人の名前、お祝いの言葉などが入っていると
ボロボロになっても使われており、ちょっぴり暖かな気持ちになります。
贈った方も貰った方も、時計自身もさぞ満足だろうと。

随分前なのです綺麗な花文字でto Love の文字と名前が刻まれた時計を
ご購入いただいたお客様が
「どんな女性だったのか、きっと愛される素敵な方だったのだろうと
色々想像すると、ますます愛着が沸きます。」と仰っており、
とても印象深く記憶に残っております。

先日もレビューで
「前の持ち主の方も、きっと着ける度に華やいだ気分になられたことでしょう。
大切にします。」と書いて頂き、とても嬉しく思いました。

そのレビューの返信にも書かせて頂きましたが、

私共の仕事は、時計を修復し受け継いで頂く事ですが、
その中で、時計が辿って来た時間も感じて頂けたらと日々思っております。

エングレービングは消す事も可能ですし、消した上に新たなエングレービングを
刻む事も可能です。  
色々な形で、小さく可愛い機械式時計を次世代へ受け継いで頂けたら
アンティーク時計専門店として嬉しく思います

*エングレービングの消去修復は→ こちら ←からどうぞ。

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