*きよみのアンティーク*ブログ

Hallmark/Blancpain ホールマーク/ブランパン

こんにちは、店主です。

入荷を翌週に延期してまで社歴をお調べしたのですが
結局、詳しい事はあまり分りませんでした・・・。

ブランパンにつきましては、言わずと知れた
世界最古の時計メーカーの呼び声高き、時計界のKing of King、
老舗オブ老舗な世界屈指の高級時計メーカーです。

そんな訳で、お調べしていたのは文字盤のHallmarkです。

アールデコや懐中時計でよく見かけるHallmarkなのですが
情報がとても少なく、文献など皆無でした。

しかし、Hallmarkは1949年からウォルサムをスポンサーとして全面的に支えており、
ウォルサムが1957年に倒産した際には、Hallmark Watch Companyの名前で
ウォルサムの商標権を買い取っております。

買収後の1950年代のHallmarkの広告等はあるのですが、
それ以前はこちらの1917年の1枚しか見つけられませんでした。

中央の時計は、同じデザインでブランパンのムーブメントもあります。
サイズ違い等で他のメーカーのムーブメントも使われております。

あの巨大メーカーのウォルサムを買い取れる財力がある会社なのに
これほど情報が少ないのは、いったいなぜなのだろうか・・・。
ウォルサムがどれ程巨大だったかは 是非→ こちら ←で

悩む店主を見て、技術のミャーオ君(宮尾君)が
「そんなものはブランパンに電話で聞けば良いのです」とナイスアドバイス。

なるほど!!! と店主。

「メーカーには、社歴マニアが必ずいるものです!」
と、勇んで問い合わせたところ「分りません」との即答。

返す言葉を失くすミャーオ君。
その後「日本のブランパンじゃだめです、本場スイスでないと!」とミャーオ君。

なるほど、では本社に。
と、受話器を握るも質疑応答できるだけの語学力が
ミャーオ君にも店主にも、まだない(一生ない)。

振出しに戻され途方にくれておりましたら、小冊子を見つけました。

こちらは1951年の小冊子なのですが、1ロットの価格と販売予測価格が
書かれているので小売店向けの小冊子だと思います。

この中にこの様な文章を発見!!!!

なんと since 1906 と!
初めて起業年代が分かりました。

起業した年だと名言しておりませんが、文章の内容的には
同じ意味と思える書き方です。
”そして今日(こんにち)、技術力を持つ会社を取り入れた”とも書かれております。
これは、おそらくウォルサムの買収の事だと思います。

しかし、ウォルサムを買収するまでの社歴は殆ど分からず・・・。

プランパンとの契約の経緯はハッキリと分からないのですが、
ブランパンがHallmarkにムーブメントを提供していた事は間違いがなく
こちらの品がブランパンのムーブメントな事も間違いありません。

高級メーカーですと、ケースやムーブメントが他社の品に
入れ替えられてる事がよくあります。
特にティファニーの様なムーブメントを様々なメーカーに依頼していたブランドは
粗悪なムーブメントが押し込まれて、シレっと売られています。
でも、本物だと言う証拠書類がないと言う事は、その逆もまた然りで悪魔の証明なのです

ブランパンも上記の様にhallHallmarkに押し込まれた可能性も調べましたが
現存する数やシリアルナンバーからして、それはあり得ないです。

疑い深い店主は『名前だけ同じで、違うブランパンなのでは?』と思い
時計士さんにも確認しましたが、ムーブメントの作りを見ても、
ブランパンに間違いはないとの事でした。

こちらの時計のムーブメントは”Blancpain”との刻印だけですが、
他の時代のHallmarkには”e. blancpain fils”の刻印もあり、
こちらは間違いなくブランパンの刻印です。

filsは息子の意味で、2世代に渡って同名の違ブランドはありえないので
hallmarkはBlancpainに依頼して時計を作っていた事は確かだと思います。

当時のブランパンの工場は”ちょっと大きめの民家”程の小さな工房で、
大量生産が主流の時代の中でも、少数の高級ラインを丁寧に作るメーカーでした。
なので、他社にムーブを提供していた事に驚きです。

他社へのムーブ提供は一般的な事なので、どのメーカーもしてたのですが
あの小さな工房で、他社分も賄っていたとは・・・。

最後に、この時計が作られた小さな工房の写真をご紹介します。
是非、上記でリンクを貼ったウォルサムと比べて見て下さい。大きさの違いに驚くと思います。

そして300年近く経った今でも、この工房は使われております。

ブランパンのムーブが乗っているHallmarkは数が少ないので、
日本では高額で販売されていると思います。

●追記●
下記は道路を挟んだ反対側の様子です。

なんともスイスらしい風景・・・ハイジが走ってそう。

現在の工房の写真はグーグルマップから撮りました。
グーグルマップで道沿いに進むと
正面にはブランパンの看板がハッキリ見えますよ。

もしもご縁が御座いましたら、時計を眺めながら
是非グーグルマップでお散歩してみてください。

なんとも不思議な気分を味わえますよ

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