こんにちは、店主です
来週、グリュエンのカーベックスが2本入荷するので
カーベックスについて書いてみようかと。
グリュエンの社歴につきましては→ こちら ←をご参照下さいませ
偶然にも似たデザインの2本の広告がありました
下記は1947年の広告ですので、よーく見るとちょっぴり違うのですが。
カーベックスはケースにカーブを付けて
手首に沿う様に作られたデザインを指して呼びます。
ドライバーウォッチでもあるので、親指の付け根位置で着用し
車のハンドルを握ったまま、時間も確認できます。
ケースにカーブがついているデザインはメーカー問わず
カーベックスと呼ぶほど認知度の大変高いモデルです。
バンドエイドやママレモンと同じく代名詞となるデザインなのです。
ただグリュエンのカーベックスは、ケースだけでは無く
なんとムーブメント(機械)もカーブしております!
しかし、歯車は曲がっておりません。
受けと地板を曲げて全体をカーブさせています。
時計士さんが描いてくれました、
すごく味のあるイラストを。ふふ
左が通常ムーブで、右がカーベックスです。
時計士さん曰く「歯車の位置は正確ではありません、イメージです!」
との事ですが、とても分り易く描けていると思います。
カーブしているのは上下の板で、挟まれたパーツは通常と同じなのです。
良く考えられたデザインです・・・フムフム
「この絵のせいで売れ残ってしまいますよぉ」と時計士さんは
心配しておりましたが、店主的にはとってもオシャレで
なんならTシャツにして着たいくらいだと思うのですが・・・。
絵の可愛さは劣りますが、グリュエンも描いております。←あるのかい。
しかも大きく So easy to see why って・・・。
小さなムーブの絵は、他のメーカーのカーベックスで
下記でも「CURVEX」と「OTHERS」と明記しております。
上記は1938年の広告で、下記は1948年の広告です。
下記では「CURVEX」と「Ordinary Curved Watch(一般的なカーブした時計)」と書いております。
10年経っても、一般的なカーベックスは小さなムーブを乗せておりました。
中の歯車等は普通なのだから、簡単に大きく出来そうに思うのですが
実はカーブに合わせてムーブ全体の構造を曲げております。
これが他社には簡単に真似できないグリュエンのカーベックスならではの特徴でもあります。
大きくなると何が違うかと言いますと、
ゼンマイの長さや強さが増すのでトルクも安定しますし、
心臓部のテンワも大きくなれば、その分安定します。
なので広告内でもamazing accuracy 驚くべき正確さだと書かれております
今回ご紹介する2本のカーベックスのムーブも曲がっております。
小さなカーベックスも小さく曲がっております
レディースのこのモデルは、1930年後半~1940年前半に販売されたモデルで
デザインは同じなのですがランクは数種類あった様です。
今回ご紹介するのはPRECISIONなので上位機種で、
公爵夫人の意味を持つ゛Duchess ゛と言うモデルと思われます。
1930年代のDuchessにピンクゴールドの記載が見つからないので
製造年代は1940年~1942年辺りだと思います。
下記は1937年の広告です。
下記は1941年の広告です。
この雰囲気のデザインは、丁度上記期間しか作られておらず
それ以前ですとカーベックスはまだ無く、それ以降ですとアールデコの
雰囲気は少なくなり、コロンとした1950年代の雰囲気に近くなります。
ページ一番上の1947年の広告をアップにしてみました。
一見似てるのですが、
風防のサイズもケース幅いっぱいで、厚みもあります。
インデックスはアップライトが使われ金色の数字になります。
アールデコを少し残しながら50年代のカクテルウォッチに近くなっております。
ボーイズサイズも同じく。
似てる様で時代ごとに雰囲気の違いに味があります。
今後も少しずつ色々な時代のカーベックスをご紹介してゆきたいと思います。
とても珍しい構造を持つ魅力的なカーベックス、
コレクションの1つとしてもお薦めです
●●●●●追記●●●●●●●
カーベックスの中でもMOVADO(モバード)のポリプランの構造だけは特殊で
パーツを傾かせて曲げております。
こちらも、時計士さんが描いてくれました。
パーツは傾いておりますが、歯車は曲がっておりません。
(いいえ、曲がっておりませんw!!)
希少性が高く100万オーバーが当たり前なモデルです。
そして・・・・
うーーーーん、こっちも可愛いなぁ
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